ピンとくる金床が無かったので彫金用に鋼材から金床を作ってみた。

アクセサリー作り

アクセササリーを趣味で作っていて、真鍮だの銅だの銀だのを金づちでトンカン叩く台、つまり金床が欲しかったんよ。

んで最初は市販の金床を買おうと思ってたんよな。

こういうやつね。

でもこれだと実際どの程度の質量があるかわからなくて上で金槌をトントンやったら質量不足で金床自体がカンカン鳴いちゃうんじゃないかなと思って不安で悩んでたんよ。

用途もアクセサリ自作って決まってるので金床自体が鳴かない出来るだけコンパクトで質量の大きいものが欲しかったんよね。

それならばってことで鋼材その物を買って金床にすればいいんじゃね?

ってことで買ってみた!

ドドーン!

S50Cという炭素鋼で大きさは100×100×70mmで重さは5.46kgとなかなかの鉄の塊やな。笑

幅が100mmってことは何とこれTiger戦車の正面装甲と同じ厚みってことなんやで。

撫でまわしながらこれがTigerの装甲の厚みかぁとしみじみしてもたわ。笑

この厚みといい削り出しの金属の塊ってのは何でこうもそそるんやろか?笑

ちょうどこっちから見たら100mmでTigerの正面装甲と同じなんやな。

んでもって一通り眺め倒して満足した後、さあ金床として使おうって思うわけやん。

叩きたいものを載せてトンっとやってみると…。

あれ?金床が予想以上に簡単に凹む…。

何でや…?ハッ!焼き入れや!

せっかくの炭素鋼でも焼きが入ってないから柔らかいただの鋼材なんや…。

しかし、このサイズの鉄の塊を素人がDIYで焼き入れするのは困難すぎる。

個人の依頼を聞いてくれそうな熱処理工場を探すもほとんど見つからず、見つけた数少ない工場も問い合わせの返事が来ない。

そんなときに途方に暮れるツイートをしてみると何と近い関係の仕事をしている人や、職場で熱処理もやってるという直球の仕事してる人までリプをくれて今回何とこの鉄塊を熱処理してもらえるという奇跡ががが!!!

ありがとう!水瓶さん!

Twitterはこれに限らずほんま助けられてるなぁ。

そんな紆余曲折を経てついにこの鉄の塊に熱処理が!焼き入れによる黒被膜で真っ黒ザラザラ。

あのつるつるの削り出し感は全くなくなった。笑さて焼き入れの問題は解決したのでここから使用面を研磨して他の面も少し磨いていくわけやけど…。

定番の紙やすりからダイヤモンドやすりのお化けまでいろいろ使ってみたけど、とにかく埒が明かない。笑

ここまで磨くのにもホント何日もかけて苦労したもんや。

そこでこんなグッズに頼ってみた。

電動ドリルの先にサンドペーパーを付けるアタッチメント。ちなみにこの金床の状態は耐水ペーパーを使って何日も手磨きした状態。笑

アタッチメントとサンドペーパーの裏がそれぞれマジックテープになっててペタッとくっつくって仕組みなんやな。 これでウィーンとやるわけなんやけど、手磨きに比べて圧倒的過ぎた。笑

今まで耐水ペーパーとか何日もかけてゴシゴシ磨いていたのは何だったんや。笑

まさに一瞬やったわ…。

金床用途なのでさすがに鏡面まで磨きあげるつもりはないけど…。

見て!見て!ここまできれいになったわ!

しっかりガス缶が写りこんでる! 金床として使う表面をしっかり磨いて側背面も程よく磨いたわ。

裏には防振ゴムと滑り止めにコルクシートをはって、金槌でトントンやった時の振動が伝わりづらくしてみたわ。

とりあえずこれでひとまずは完成かなぁ。

現在はこんな感じで使ってるけど、使い勝手は抜群や。

もちろん焼き入れしてもらったこともあって、表面も硬くなり普通に使うだけなら作業に支障が出るような傷は全然つかない。

そして一番欲しかった「質量」があるので、アクセサリー用の小物程度なら上で金槌トントンやっても金床がカンカン鳴かない。

質量の足りない鉄板とかだとカンカン甲高い音で鳴いてしまってとても使えたもんじゃないんよなぁ。

この一点だけでも鋼材買って焼き入れしてもらって研磨してと苦労して作った甲斐があったってもんや。

今回は思い付きで鋼材を購入して、焼き入れの罠をTwitterの人脈に救われて、色々あったけど結果的に満足できる金床が手に入ったし面白い経験やったわ。

最後に改めて焼き入れに手を貸してくれた水瓶さんに感謝を!